クレイについて
クレイパックや、化粧品の材料として利用されているクレイ。
様々な商品が販売されており、美容アイテムとして使用したことがある方は多いのではないでしょうか?
クレイには様々な種類があり、美容以外にも色々な産業で活用されています。
クレイとはどの様なものか知ることで、それぞれのクレイの特徴を活かして利用することができます。
今回はクレイの種類や成分、選び方や使い方についてご紹介します。
クレイとは?
クレイとは粘土質の地層から採掘された「粘土鉱物」です。
その多くが、火山灰が風化したもので、長い年月をかけて形成された自然の恵みです。
採掘される場所や、生成過程によってクレイの構造や、成分、特性などが異なります。
それぞれのクレイの特徴を捉えて、上手くクレイを活用してみましょう。
クレイの鉱物学上の分類
採掘される場所によって、クレイを構成する鉱物は異なります。
例えば、グリーンイライトという商品名のクレイがありますが、イライト100%で構成されているわけではありません。
主にイライトが含まれいて、他にもカオリナイトやモンモリオナイトが含まれているというように、異なる種類の鉱物が混ざっているのが普通です。
鉱物学上では、美容目的や医療で使用されるクレイの種類は、大きく3つのグループに分けられます。
グループ | 主に含まれる鉱物 | 代表的な商品名 |
カオリン | カオリナイト | ホワイトカオリン、ホワイトクレイ |
イライト | イライト | グリーンイライト、イエローイライト、レッドイライト |
スメクタイト | モンモリオナイト | グリーンモンモリオナイト、ベントナイト、フラーズアース |
スティーブンサイト | ガスール |
クレイはナノレベルの小さな分子で構成されており、顕微鏡で見てみると、薄い層がいくつか重なっているのが分かります。
カオリナイトは2層、イライトは5層、スメクタイトはイライトの5層を2つ繋げた形になっています。
層が多いほど、クレイの吸収作用は強くなり、皮膚刺激も強くなります。
クレイに含まれる鉱物の比率を知ることで、クレイの吸収力や作用を判断する目安になります。
クレイの成分
クレイは主にミネラル元素の集合体で構成されています。
鉱物学上は同じ分類でも、商品によってミネラルの比率は異なる場合があり、見た目では判断することが難しいと言われています。
また含まれるミネラルの成分構成によっても、クレイの特徴や作用も異なってきます。
主に含まれるのはシリカ(二酸化珪素)で、全体の40〜60%ほど含まれています。
他にも様々なミネラル類が酸化した形で含まれています。
クレイに含まれるミネラル類 | ||
シリカ(珪素) | カルシウム | 鉄 |
アルミニウム | カリウム | 亜鉛 |
マグネシウム | ナトリウム | 銅 |
マンガン | リン | チタン |
クレイの種類
クレイは、色々な種類の製品が、販売されています。
色や産地、含まれる鉱物の種類などによって、その特徴も様々です。
一般的に販売されている、代表的なクレイをご紹介します。
グリーンイライト
世界で1番利用されているクレイ。
欧州では、医療の分野で利用されており、クレイセラピーでは、湿布によく使用されます。
フランスのシェヌ・デ・ピュイ火山群サン・ポリアン村の付近で、産出されているクレイです。
吸収性はクレイの中で1番優れており、吸着力はマイルドです。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
イライト | 40-60% |
カオリナイト | 15-20% |
モンモリオナイト | 15-20% |
カルサイト | 3-10% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 42% |
酸化アルミニウム | 24% |
酸化カルシウム | 8% |
酸化鉄 | 12% |
酸化カリウム | 7% |
酸化マグネシウム | 3% |
酸化ナトリウム | 2% |
ホワイトカオリン
フランスのブルターニュ地方やアメリカのジョージア州などで産出されるクレイ。
カオリンという名称は、磁器原料として用いる純度の高い白色粘土が採掘されている、中国の高嶺(Kaoling / カオリン)に由来しています。
クレイの中で1番粒子が細かく、表面積が広いのでペーストにするとなめらかな質感でカバー力があります。
弱酸性でお肌に優しいので、敏感肌の方にもおすすめのクレイ。
グリーンイライトの半分ほどの吸収効果があります。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
カオリナイト | 95-98% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 55% |
酸化アルミニウム | 35% |
酸化鉄 | 1% |
酸化カリウム | 2% |
モンモリオナイト
フランスのモリオ火山で採掘されたことが名前の由来。
粒子が細かく、薄く皮膜をつくる作用(被覆性)があり、吸着性に優れています。
カルシウムやマグネシウムを豊富に含み、肌の表皮に働くクレイ。
スキンケアにおすすめのクレイで、他のクレイの仕上げに用いられます。
グリーンイライトの70%ほどの吸収力があります。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
モンモリオナイト | 30-40% |
イライト | 30-35% |
カオリナイト | 10-15% |
クオーツ | 20-30% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 50% |
酸化アルミニウム | 21% |
酸化カルシウム | 3% |
酸化鉄 | 13% |
酸化カリウム | 7% |
酸化マグネシウム | 3% |
酸化チタン | 1% |
ガスール
スティーブンサイトをいう珍しい鉱物を含むクレイ。
モロッコ北部の砂漠地帯にある鉱山のみで産出されるクレイで、北アフリカや中東で12世紀以上前から利用されてきた歴史があります。
スティーブンサイトには珪酸マグネシウムが含まれており、優れた洗浄力と保湿力を持ち合わせています。
固形タイプと、粉末タイプが販売されています。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
スティーブンサイト | 95-97% |
カオリナイト | 3-5% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 55% |
酸化アルミニウム | 5% |
酸化カルシウム | 3% |
酸化鉄 | 2% |
酸化カリウム | 1% |
酸化マグネシウム | 22% |
酸化ナトリウム | 1% |
ベントナイト
ベントナイトは化粧品以外にも食用や建築にも使用される、汎用性の高いクレイ。
吸着力が強く、解毒作用に優れているクレイです。
アメリカのワイオミング州Fort Benitoで採掘されるクレイを、ベントナイトと名づけたことに由来しています。
スメクタイトグループのモンモリオライトを主成分とするベントナイトは、アメリカを中心にインド、中国、ギリシャ、トルコなど世界各地で採掘されています。
日本では青森県、山形県、宮城県、群馬県、新潟県、島根県等が産地として知られています。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
モンモリオナイト | 45-50% |
クォーツ | 35-40% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 70% |
酸化アルミニウム | 13% |
酸化カルシウム | 2% |
酸化鉄 | 1% |
酸化カリウム | 1% |
酸化マグネシウム | 2% |
酸化ナトリウム | 2% |
イエローイライト
グリーンイライトと同じ鉱山で産出されるクレイ。
地表に近い休火山の山頂付近で採掘され、グリーンイライトの一部にイエローイライトが含まれます。
酸化鉄や酸化銅を含んでいるので、黄色味がかった色をしています。
血流の促進が期待されるので、疲れた時やお肌のハリが欲しいときにおすすめです。
グリーンイライトよりも作用は優しく、グリーンイライトの80%ほどの吸収力があります。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
イライト | 50-60% |
モンモリオナイト | 10-15% |
カオリナイト | 15-25% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 50% |
酸化アルミニウム | 27% |
酸化カルシウム | 4% |
酸化鉄 | 6% |
酸化カリウム | 3% |
酸化マグネシウム | 2% |
酸化ナトリウム | 3% |
レッドイライト
イエローイライトと同じく地表に近い場所で産出される赤茶色のクレイ。
グリーンイライトやイエローイライトの採掘される場所から30kmほど離れた場所で採掘されています。
酸化鉄やセレニウムを豊富に含み、血流促進や脂肪燃焼の効果が期待できます。
吸収力や吸着力が強いので、敏感肌の方は顔に使用するのには注意が必要です。
主に含まれる鉱物 | おおよその含有量 |
イライト | 70% |
カオリナイト | 10% |
クオーツ | 10% |
主に含まれるミネラル類 | おおよその含有量 |
二酸化珪素 | 48% |
酸化アルミニウム | 26% |
酸化カルシウム | 1% |
酸化鉄 | 9% |
酸化カリウム | 7% |
酸化マグネシウム | 3% |
酸化ナトリウム | 2% |
酸化チタン | 1% |
ピンククレイ
ホワイトカオリンとレッドイライトをブレンドしたクレイ。
メーカーによって含まれる成分の比率が異なります。
レッドクレイの比率が高いものは、ローズクレイという名称で販売されています。
クレイの作用
クレイの作用は、含まれる鉱物の比率、ミネラル類の構成によって異なります。
どのクレイにも共通する、代表的な作用がいくつかご紹介します。
解毒作用
クレイは薄い層が何層にも重なっており、その表面はマイナスに帯電しています。
マイナスイオン化したクレイは、プラスに帯電していることが多い、体内の重金属、毒素、老廃物などを吸着して排出する作用があると言われています。
代謝の促進
クレイ分子が細胞膜に触れると、老廃物ともに水分もクレイに吸収され、細胞内の細胞液の量は減ります。
細胞は新たな細胞液を、血液やリンパ液から吸収し、それによって体内循環が促進されます。
身体に不要な物を排出し、新しいエネルギーを吸収することにより、代謝の促進につながります。
抗炎症・鎮痛作用
クレイの持つ代謝促進作用は、炎症をおこした部位の抗炎症作用にも役立つと考えられます。
細胞液の入れ替えが行われると、白血球が働きやすくなり、炎症のプロセスが促進されます。
炎症した部位に滞留した血液や老廃物を、クレイが吸収することにより腫れを抑え、痛みの軽減にもつながると言われています。
瘢痕形成作用
クレイには、傷ついた皮膚細胞の再生を促進し、回復させる作用があると言われています。
それはクレイがアミノ酸のペプチド結合を促進させる働きを持つことや、ミネラル交換によって、皮膚に必要なミネラル類が吸収されることが関係していると考えられています。
ミネラルの補給
人間の身体に欠かせない、ミネラルが豊富に含まれるクレイ。
クレイを使用すると、フリー・イオン化したミネラルが体内に吸収される、ミネラル交換作用が働きます。
血液循環の促進・うっ滞除去
クレイを使用すると、細胞内に滞留している水分を吸収し、リンパ液や血液の循環が促進されます。
またクレイに含まれる鉄分が、ヘモグロビンの生成を促し、増えた赤血球が血流循環促進に役立っていると考えられます。
まとめ
今回はクレイの種類や作用を紹介させていただきました。
クレイの使い方や活用法については、下の記事でご紹介しております。
クレイを暮らしの中に取り入れて、自然の恵みを活用してみましょう!