自分の好きな香りを嗅ぐと、気持ちが安らいだり、気分をリフレッシュすることができる。
香りが持つ力は、どのように私たちの体に作用しているのでしょうか?
アロマテラピーは、植物から抽出した精油を使い、心身をリラックスさせたり、体調を整えることができる自然療法です。
今回は、アロマテラピーのしくみについて簡単に解説します。
アロマテラピーのしくみ
嗅覚と触覚
アロマテラピーは嗅覚と触覚を通して、身体に刺激を与えます。
嗅覚や触覚は、生きるために重要な感覚であり、進化の早い段階で発達した感覚と言われています。
例えば、身体に悪影響のある臭いや、食物の腐敗した臭いなどを嗅ぐと、危険なもの、避けるべき物だと判断できるように、嗅覚は本能的な感覚なのです。
また、触れて確かめたい、好きな人と手を繋ぎたいなど、触覚も同じように本能的で、感情と深く関係する感覚だと言えます。
嗅覚のしくみ
人間は1週間で約2000種類以上もの香りを嗅いでいると言われています。
香りの刺激が脳に伝わる時間は0.2秒以下で、一瞬で心身に作用し、気づかないうちに身体に影響を与える事がわかっています。
鼻腔から入った芳香成分は、鼻腔の奥にある嗅上皮の嗅毛に捕らえられます。
その刺激は電気信号(インパルス)に変換され、本能行動を司る大脳辺縁系の扁桃体や海馬にダイレクトに伝わります。
そして大脳辺縁系と神経同士の連絡が密な視床下部や下垂体など、自律神経やホルモンの分泌をコントロールしている器官にも影響を与えます。
最終的に視覚野に伝わることで、過去の記憶との照らし合わせが行われ、何の香りか判断していると言われています。
タッチングの効果
アロマテラピーのトリートメントはやさしく圧をかけながら、ゆっくりと触れられることにより、心身が解きほぐされるという効果があります。
手当という言葉がありますが、やさしく撫でたり、さすったりする行為が、セラピー(療法)として効果を発揮しているからだと考えられます。
元々脳と皮膚は、同じ細胞が体の外部と内部に分かれてできたものなので、皮膚への刺激は脳への刺激と密接に関係しています。
また心地良さを感じる触れ合いは、鎮静作用のある神経物質(脳内モルヒネ)の分泌を活性化し、慢性的で鈍い痛みを和らげる効果があります。
アロマテラピーの作用
心に対する働き
精油の香りが脳に刺激を与えると、エンドルフィン、セロトニン、アドレナリン、などの脳内の神経伝達物質が分泌されます。
これらには多幸感や情緒の安定、心を活気づけたり、鎮静させたりする働きがあります。
心が安定することにより、体内のシステムが円滑に動き、病気になりにくい身体に導きます。
身体に対する働き
精油を使用してトリートメントを行うと、精油の成分が皮膚から吸収されて、血管やリンパに入ります。
精油成分には、免疫を強化したり、血液やリンパの流れを促し、内臓を刺激して働きを向上させるなどの効果が知られています。
またトリートメントには、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果もあり、精油成分の作用と相乗効果を発揮します。
皮膚に対する働き
精油成分には、肌の調子を整え、スキンケアに役立つ物がたくさんあります。
精油をトリートメントで使用することにより、血流が良くなり、精油成分の吸収が高まると共に、新陳代謝の活性化にもつながります。
また皮膚へのやさしい触覚刺激が、情緒を安定させてストレスへの耐性を高めてくれます。
まとめ
アロマテラピーは嗅覚と触覚を刺激して、心身にアプローチできる自然療法です。
生活にアロマテラピーを取り入れることで、体調や精神をやさしくコントロールすることができ、穏やかで豊かな生活に導いてくれると思います。
是非香りの持つ力を日常生活に取り入れてみませんか?