アロマテラピーとはどのような意味があるのでしょうか?
今回はアロマテラピーの定義と、歴史について簡単に解説します。
アロマテラピーの定義
アロマテラピーとは、フランス語の「aroma」と「therapie」を組み合わせた造語です。
日本語に訳すと「芳香療法」という意味になります。
アロマテラピーとは香りを使って、心身の不調を整えたり、健康維持に役立てる健康法の一つで、様々な形で生活に取り入れることができるものです。
アロマテラピーの歴史
アロマテラピーという言葉ができたのは20世紀に入ってからですが、古代から人類は芳香植物を生活に取り入れて暮らしてきました。
古代では主に、薫香や浸剤という形で香りを利用してきました。
10〜11世紀に精油の抽出方法が確立されてからは、香りの利用範囲は大幅に広がりました。
18〜19世紀に近代化学がめざましく発展すると、様々な物質が安価に化学合成で作られるようになりました。
すると高価な自然香料はかえりみられなくなり、精油や薬草などは劣った民間療法に使われる、古臭い物とみなされるようになりました。
ルイ・モーリス・ガットフォセ 「アロマテラピー」という言葉を作った人物
精油の見直しは、フランス人科学者の調香師でもある、ルイ・モーリス・ガットフォセによって行われました。
ガットフォセは作業中に爆発を起こし大火傷を負いますが、ラベンダーの精油を火傷の治療に使ったところ、大変早く回復し傷跡も残らなかったという経験がきっかけで、精油の研究に没頭するようになりました。
アロマテラピーという言葉は、1937年にガットフォセが出版した「Aromatherapie」という著書の中で使ったのが最初だと言われています。
ジャン・バルネ博士による芳香療法の実践
フランス軍医のジャン・バルネ博士は、戦争の前線から送られてくる負傷者たちに、精油を用いて手当を行いました。
精油による治療は素晴らしい成果をあげ、たくさんの臨床例を得ました。
抗生物質の使用に疑問を抱いていた博士は、精油の特性についての研究を重ね、軍籍を離れた1946年に「Aroma therapie」という著書を出版しました。
博士の実践的な研究の結果、医療分野でアロマテラピーは発展し、精油の内服も行われるようになりました。
マグリット・モーリーによる美容分野への展開
マグリット・モーリーはオーストラリア出身の生化学者で、精油の美容や健康の保持効果を広めた第一人者です。
インド、中国、チベットなどの伝統的な医療を学び、香りを美容分野に応用し、心身のアンバランスを整え、若返りや健康を保つという「ホリスティックアロマテラピー」という分野を生み出しました。
個々のクライアントに合わせて精油を選び、植物油に希釈してマッサージするという方法は、多くの顧客から指示を集め、フランス、イギリス、スイスなどにアロマテラピー診療所を開設しました。
1961年に「The secret of my youth」を出版し、イギリスのホリスティックアロマテラピーに大きな影響を与えました。
ロバート・ティスランド アロマテラピーのパイオニア
イギリスのアロマテラピー研究者であるロバート・ティスランドは、ジャン・バルネやマグリット・モーリーの業績を受け継ぎ、また古典的な植物療法についても深く研究し、アロマテラピーを体系的に学問としてまとめあげた、アロマテラピーのパイオニア的な存在です。
1977年に出版した「the art of aromaterapie」には、古典的な植物療法の歴史や、精油の治療特性、処方などがまとめられています。
世界10ヵ国で翻訳、出版され、広く世間にアロマテラピーを普及させました。
ロバート・ティスランドは現在でも、イギリスのホリスティックアロマテラピー界のリーダーとして活躍しており、アロマテラピーの普及に力を注いでいます。
日本におけるアロマテラピーの普及
日本では1980年ごろから、ジャン・バルネやロバート・ティスランドの本が出版されたり、著名なアロマセラピストの講演がおこなわれるようになりました。
1990年ごろからは、各地でアロマテラピースクールが開設されたり、メディカルアロマテラピーも注目を集めるようになり、補助医療として医療の現場でも活用されるようになりました。
1996年に日本アロマセラピー(AAJ)が設立され、日本でのアロマテラピーの普及と資格制度の実施などを行い、幅広い分野で活用されるものとして、社会的地位を獲得していきます。
その後2005年「公益社団法人 日本アロマ環境協会」(AEAJ)として新たに発足し、日本最大級のアロマテラピーの団体となっています。
アロマテラピー検定をはじめとした、各種資格認定による正しい知識と技術を持った人材育成や、アロマテラピーの普及、調査、研究などを行なっています。
まとめ
芳香療法や植物療法には長い歴史がありますが、今回は近年のアロマテラピーの形になるまでの流れを簡単に紹介させていただきました。
次回はアロマテラピーのメカニズムについて解説させていただきます!