精油には様々な薬理作用があり、症状に合った精油を使い、心身を整える事ができます。
身体に精油をどのように吸収させて、どのような効能があるのか、また精油を使用する時の注意点などをご紹介します。
精油の吸収経路
皮膚からの吸収
精油を入れたオイルを皮膚に湿布すると、皮脂膜や皮脂によく馴染み浸透していきます。
真皮層に届いた精油は、毛細血管やリンパに入り、血流に乗って全身に運ばれ、組織や器官に働きかけます。
鼻や肺からの吸収
精油成分が空気中にある時に呼吸することで、体内に吸収されます。
鼻から入った精油成分は、脳に働きかけたり、少量が粘膜から吸収されて血液に入ります。
肺では肺胞の膜を過透して血液に入りますが、再び呼吸する際にほとんど排出されるため、皮膚からの吸収率の1/10程度になります。
経口からの吸収
精油を口から内服する場合は、吸収率が高いため、胃腸や肝臓、腎臓に障害を起こす恐れがあります。
メディカルアロマセラピーでは、精油を専用の希釈材を混ぜて内服する事がありますが、家庭で行うのはリスクが高いので、避けた方がいいでしょう。
精油の代謝と排泄
精油は吸収されたのち、血流に乗って体内を巡り、いろいろな組織に影響を与えます。
最終的には、肝臓や腎臓で分解されて、尿や便、汗、呼気などになり排泄されます。
吸収された成分が役目を終え、しっかりと排泄されるのを助けるため、アロマテラピーの後はお風呂で体を温めたり、温かい飲み物を多めに飲むように心がけましょう。
精油の薬理作用
精油にはそれぞれ独自の成分があり、成分により薬理作用は異なります。
代表的な作用をご紹介します。
抗菌作用 | 細菌の増殖を抑え、感染を予防する |
抗ウィルス作用 | ウィルスの増殖を抑え、感染を予防する |
抗真菌作用 | 真菌の増殖を抑制、感染を予防する |
去痰作用 | 痰の排出を促す |
粘液溶解作用、抗カタル作用 | 体内の過剰な粘液を溶解し、排出する |
鎮咳作用 | 咳を鎮める |
強壮刺激作用 | 体の機能を刺激し、働きを高める |
免疫強化作用 | 免疫機能を高め、体の防衛能力を高める |
鎮静作用 | 中枢神経を鎮め、気持ちを落ち着かせる |
抗ストレス作用 | ストレスへの抵抗性を高める |
抗不安、抗うつ作用 | 不安を和らげ、気持ちを明るくする |
自律神経調整作用 | 自律神経のバランスを調整する |
神経強壮 | 神経を刺激して強化し、活力を与える |
精神安定 | 精神的に不安定な状態を安定させる |
多幸作用 | 幸福感を高め、幸せな気持ちにする |
精神高揚作用 | リラックスさせ、気持ちを高揚させる |
頭脳明晰作用 | 脳の働きを刺激、クリアにする |
催淫作用 | リラックスさせ、性欲を高める |
加湿作用、引赤作用 | 血液を拡張し、局所的に温める |
血流促進作用 | 血液の流れを促進する |
うっ滞(うっ血)除去作用 | 滞った体液(血液、リンパ液など)の流れを促す |
脂肪溶解作用 | 体内の脂肪の燃焼を助ける |
解毒作用 | 体内の老廃物の排出を助ける |
抗痙攣作用、鎮痙作用 | 痙攣を鎮める |
筋肉弛緩作用 | 筋肉の緊張を緩める |
鎮痛作用 | 痛みを緩和する |
鎮掻痒作用 | かゆみを緩和する |
抗アレルギー作用 | アレルギー症状を緩和する |
瘢痕形成作用 | 肉芽組織の形成を助ける |
癒傷作用 | 傷の治りを早める |
皮膚細胞活性作用 | 細胞の新陳代謝を高める |
皮膚軟化作用 | 硬くなった皮膚を柔らかくする |
収れん作用 | 皮膚や組織を引き締める |
血圧降下作用 | 血圧を低下させる |
血圧上昇作用 | 血圧を上昇させる |
皮脂分泌調整作用 | 過剰、少なすぎる皮脂バランスを調整 |
消化促進作用 | 胃腸の蠕動運動や消化液の分泌を促し、消化を助ける |
肝臓強壮 | 肝臓を強壮し、働きを高める |
胆汁分泌促進作用 | 胆汁の分泌を促進する |
健胃作用 | 胃を強壮し、働きを高める |
緩化作用 | 大腸の蠕動運動を高め、便通を促す |
結石溶解作用 | 結石を溶解する |
駆風作用 | 腸に溜まったガスの排出を促す |
エストロゲン様作用 | 女性ホルモンに似た作用 |
コーチゾン様作用 | 副腎皮質ホルモンに似た作用 |
ホルモン調整作用 | ホルモンのバランスを調整する |
通経作用 | 月経を促す |
駆虫作用 | 腸内の寄生虫を除去する |
昆虫忌避作用 | 蚊などの昆虫を忌避させる |
精油の安全性について
精油は植物由来の100%天然の成分ですが、成分によっては毒性のあるもの、使用する際に注意が必要なものもあります。
①神経毒性
脳や神経にダメージを与える場合がある。
使用量に注意して、高血圧やてんかんの人は避けるようにする。
②経口毒性
内服すると消化器にダメージを与えたり、肝臓や腎臓で分解される際に毒性が働く物がある。
③皮フ感作
感作とは免疫に基づく反応で、人によっては少量でもアレルギーを起こす事があります。
パッチテストをして反応が出たら、使用をやめるようにしましょう。
④光毒性(光感作)
皮膚に光毒性のある精油を湿布した状態で日光に当たると、紫外線と反応を起こし、発疹や色素沈着を起こす事があります。
柑橘系の精油には注意が必要で、湿布した後12時間以上は紫外線を避けるようにしましょう。
光毒性を取り除いた精油も販売されています。
精油を使用する際の注意点
健康状態によっては使用できない精油や、使い方に注意が必要な精油もいくつかあります。
例えば赤ちゃんには精油は使用しない、妊娠中や授乳中には使える精油や濃度を確認するなど、健康な方でも注意が必要です。
もし持病などがあり不明な点がある場合は、医師やアロマセラピストに相談してから使用するようにしましょう。